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「プロフェッショナルマネージャーの仕事はたった1つ」 髙木晴夫著 かんき出版

本書では、上司が部下に「配る」情報として、次の5つが挙げられている(たった1つなのに5つもあるの!とは言わないこと)。「状況情報」、「方向性情報」、「評価に関する情報」、「個別業務情報」、「気持ち情報」。

 

確かに、これらはマネジメントする側が発信しなければならない情報であろう。受ける側の立場からみると、これらの情報欠如は、不平、不満の原因にもなろう。受信側の不平、不満の元を逆に辿ると、上のいずれかに行き着くような気がする。

 

いまどんな状況にあるのか分からなければ、どう動いたらよいのか判断できない。どちらに向かうのかが分からなければ、やっている行いに不安を感じる。行いの結果がどのように思われているのかが分からなければ、自分の行いへの確信が得られない。正しいやり方を知らなければ、間違ったやり方をしてしまう。理解できない感情をぶつけられても、当惑してしまう。

 

最悪の場合、これらの情報のうちの一部が欠けただけでも、不信感や不安がつのり、会社を辞めるという行為につながることもある。それは、実体験としてよく理解できる。特に気を付けなければならないのは、受ける側の力量をよく把握して、分かっているだろうとたかをくくらないことだ。これらの5つの「配る」を実践した上で、さらに、その配信が確実に相手に伝わっているかを感じ取るアンテナ、感受性も磨かなければならないのだろう。出来ているという過信が一番おそろしい。(配っても受け取り拒否なんてのも、現実にはあるだろうけど。)

 

とはいえ、そのような努力をしたとしても、これらの情報を漏れなく、また確実に部下に伝えられるマネージャーは、私の知る限り存在しない。そもそもコミュニケーションに100%はあり得ない。だから、マネージャーには、いつも不安がつきまとう。そう、まじめなマネージャーほど。

 

その不安を少しでも減らすには、これらの5つの「配る」を、日常の業務の中で、確実に行われる仕組みとして取り込むなどの工夫が必要であろう。ある程度のゆとりがなければ、相手に伝わっているかを感じ取るアンテナの感度が落ちてしまう。面倒だけれど、受信器側のチューニングもやってあげなければならないことの方が多い。

 

一度読んでいただいて、会社の業務の中のどの場面で、5つの情報を「配る」行為がなされているか、確認してみるのも良いかもしれません。仕組みはないけど、上手くいっている会社があったり、案外、社長まで遡っても「配る」情報がどこにもない!なんて会社があるかもしれませんよ。

 

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