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第2回 IoTイブニングセミナー in 小千谷
第2回 IoTイブニングセミナー in 小千谷
日時:2020年3月6日(金)17:30~20:00
場所:小千谷商工会議所3Fホール
昨年のセミナーでは、IoTのデータ取得から生産管理システムへの取り込み部分までのハードよりの内容でした。
今回は、PDCAサイクルの中で人間が担っている「予測と分析」に役立つと思われるソフトウェア技術やツールにフォーカスいたしました。
テーマは「シミュレーションとデータマイニング」です。
セミナー講師は、新潟国際情報大学の佐々木桐子先生と中田豊久先生です。
佐々木先生には、業種に限らず有効と思われる人員配置や工場レイアウトの検証や交通渋滞解消などのシミュレーション事例を通じて、シミュレーションの適用可能性についてお話いただきます。
中田先生には、ディープラーニングやAIとも関連するデータマイニングについて、デモを交えてご説明いただくとともに、これらの技術の違いについて解説いただきます。また、プログラミング技術の学習方法についても触れていただきます。
テイラーが100年以上も前に動作分析・作業分析を行い、科学的管理手法を導入した際に与えたインパクトは、ただデータを取り、やみくもに効率化を求めたのではなく、理想的、標準的にはこれくらいの効率で生産できるはずだという目標を従業員に提示したという点に、その画期性があったはずです。
現状、IoT分野では、データを取る点ばかりが注目されていますが、リアルな世界を鏡のように反映するバーチャルな世界を構築して、バーチャルな世界で条件を変え、高い確率でこうなるはずだという目標を得ることが、デジタル技術のもうひとつの幹です。
そして、これがデジタル・ツインという考え方の一部です。
究極的には、例えば、切削加工についての物理的な現象をそのままデジタルの世界でシミュ―レーションでききるようなことも含めて、生産工程全体をデジタル化する試みがなされていますが、これが実際に使えるツールとなるにはまだ時間が掛かりますし、また、誰でもが手を出せる領域ではありません。
しかし、現状でもバーチャルな世界を有効なツールとして活用する手段は存在します。
佐々木先生の扱っているシミュレーション技術は汎用性があり、 人、物、車など、流れがある系に対して適用できます。
例えば、新しいラインを建設するつもりだが、このような配置プランだと効率はどうだろうかとか、生産ラインをこうかえたらこうなるはずだとか、人員配置をこうしたらこれだけ生産性が上がるはずだとか、多台持ちの作業手順や扱う個数を変えたら効率は良くなるだろうかとか、今の流れだとどうしても滞りが出てしまうが、こう改善したら結果はどうだろうかとか、そして、今後の取り組みになるかもしれませんが、IoTで取得したデータを生産ラインにフィードバックした場合、どれくらいの効果があるか試してみたいなどへの適用も考えられるかもしれません。
また、シミュレーションのフレームモデルに置き換えられる事象であれば、交通渋滞の問題やレジの問題、物流、その他の様々な問題に適用することも可能です。
このようなシミュレーション技術は、設備、工程管理、生産管理の担当者が、頭で悩んでいる部分を支援する強力なツールとなり得るとともに、誰もが結果を見ることができるため、目標の共有化が可能となります。IoTなどを駆使して取得したデータが、目標としてどれくらいの値であるべきかの指標を決定するための道具ともなりえます。経営者、管理者が、お互いの理解のもとに、現場作業者に目標を提示することも可能になるかもしれません。
中田先生のデータマイニングのお話しは、ディープラーニングやAIにも関連する内容です。
安価なカメラの普及やIoTは、取得できる情報量の圧倒的な増加をもたらします。しかし、 その中から原因と結果の見えない因果関係を抽出することは容易ではありません。
一方、 企業活動の中では、結果から原因を推測して問題点を改善する行為が頻繁に行われます。これらの活動は、因果関係の構造を人間の頭で仮定することにより行われますが、IoTで得られる人間の脳力では扱えない量の情報に対してはどうすればよいのでしょうか?
また、ディーブラーニングやAIでは、その推論プロセスの過程が見えないことが問題となっており、その点が、従来の因果関係の構造を人間の頭で仮定するという慣習に馴染まない点として指摘されています。
この点に関して、データマイニングはどのような位置づけにあるのでしょうか?
さらに、様々な便利なソフトウェアテクノロジーも、その恩恵に与るにはある程度のプログラミング知識が不可欠です。
セミナーでは、どのようにプログラミングを学習すればよいかという観点からもアドバイスいただく予定です。
「予測と分析」「シミュレーションとデータマイニング」というテーマのセミナーをぜひお楽しみください。