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「経済は地理から学べ」 宮路秀作著 ダイヤモンド社

先回紹介した「ビジネス思考実験」(根来龍之著 日経BP社)もそうであるが、この本も新潟大学のある先生方からご紹介いただいた本である。

正直、私は地理が嫌いだった。どこどこでどういう資源が採れるから覚えなさいとか、どこでこんな工業があるから暗記しなさいとか、そういうふうにしか地理という科目を考えていなかった。

この本は、分かり易い文章と表現で、地理嫌いの私にもその面白さと重要性を教えてくれる。

著者は、「地理とは「地球上の理」」だという。

地形や気候といった「自然地理」の条件が、農業や工業や文化をどうやって育んでいったかという「人文地理」の発生につながり、その国や地域の歴史である「地誌」として理解される流れを、簡単な例を挙げて教えてくれる。

この本を読むと、牛肉やじゃがいもやダイヤモンドやアルミや水までもが、今までと違ったつながりをもった存在として見えてくる。

「土地も資源もない日本がなぜ経済大国になれたのか?」という章では、現在の目も当てられない状況を「地理の視点から」考える。

「可容人口」が「就業機会」と「食料」に寄っていることを知れば、新潟県に欠けているものが何かも見えてくるし、北欧やシンガポールの例を見れば、欠けているものを増やす方法にもいろいろあるのだなあと知恵を絞る勇気も出てくる。

ただ、「はじめに」の「経済とは、土地と資源の奪いあいである」という著者の意見はもっともであると思うが、国や地域の「独自性」を活かして、お互いに助け合える世界を作っていくことが、これからのグローバルな世界には、より大切な経営姿勢なのではないかとも思う。

「2020年度の高校入学生より、「地理総合」と「歴史総合」が必須化され」るようであり、私のような地理嫌いをつくらないような、ワクワクする「地球上の理」を「考える力」を伝授していただきたい。